エコナ騒動

花王の「エコナ・クッキングオイル」が、成分に含まれるジアシルグリセロールに発がん性の疑いがあるということで、出荷停止になった。あわせて、エコナを使った製品も続々と出荷停止になっている。けっこう、あちこちで話題となっているね。

エコナが大きな問題になってるのは、エコナが「厚労省認可特定保健用食品」とやらになっていて、花王自身も健康食品としてのエコナを全面的に打ち出して販売していたからだ。「エコナで健康に!」といってたもんが「実は癌になるかも」となりゃ、そりゃあ大騒ぎだろう。

今朝も新聞の読者投稿欄でエコナのことが出ていた。普段からお世話になった人へのお礼などお遣い物としてエコナを送ってきた、それが発がん性? 一体どうしてくれる! そもそも特定保健用食品というから信用してたんじゃないか! どうやって安全な食品を選べばいいんだ、みたいなことだった。それを読んで、うぷぷ……と内心笑ってしまったのは(←猛烈に失礼な奴)僕だけだろうか。

みんな、本当に「特定保健用食品」というのを信じて食品を選んでたのか? なんで、そんなに簡単にそういうレッテルを信じられるんだろうか。あんなもん、おかみが大企業にお墨付きを与えるためにやっているに決まってるだろう――と思うのが普通かと考えてたんだが、違うらしい。世間は、ちゃんと信じてたらしい。ふーん、そうなのか。うちは、食品を買うのにそんなものを気にしたことがなかったなぁ。

「要するに、あんたのところは健康とか考えずに、安けりゃいいと思って食品を選んでたからでしょ!」なんて思われるかも知れない。が、そういうわけでもないんだよね。うちは、エルコープ(比較的安心なものが比較的手ごろな値段で手に入る)や菜の花コープ(ちょっと高いが、安全な食品という点では、もっとも信頼できるところの一つだと思う)を利用して、なるべく体にいいものを……と考えている。別に健康に無頓着なわけじゃない。

ただ、「なにが体にいいか、何が悪いか」を、特定保健用食品というラベルではなく、原材料や製法などで自分たちで判断しているだけだ。エコナは、実は今回の問題が発覚するよりはるか前から、「掌田家特定不健康食品」として認定されており、「絶対に買うべきでない食品」に指定されておりました。それは、ジアシルグリセロールの問題ではない。「トランス脂肪酸」の多さからだ。

トランス脂肪酸は、摂取量が増えると血漿コレステロールの濃度があがり、動脈硬化を引き起こしやすくなったり、更には「歳とって痴呆症になりやすい」なんておっかない報告があったりして、欧米ではかなり前から規制の対象となっている。ところが、このトランス脂肪酸は、日本ではほぼ野放しの状態だ。その理由は、「欧米と違い、日本人の食生活では、問題になるほど多量に摂取しないから」だそうだ。「害があるのはわかってるが、そんなにとらないから大丈夫でしょ」ってことだな。

だがね。既に日本人の食生活はかなり欧米化してきている。「日本人の食生活なら大丈夫」ったって、そりゃ平均すりゃ欧米より摂取量が低いって事だろう。古い世代は極端に低いだろうが、若い世代では既に欧米並みになっているところも多いはずだ。「日本人の平均が低い」からといって、すべての人が「摂取量が低い」わけじゃない。それなのに野放しでいいんかい?とか思わない? こういうことを調べていると、日本の食品関係の行政が「大企業べったり、国民なんてどーでもいい」考えできていることがよくわかるのだ。だから「特定保険用食品」でござい、とかいわれたってとても信じる気にはなれないんだ。

そんなわけで、我が家ではトランス脂肪酸を多く含むマーガリンは絶対に使わないし、エコナも同じ理由で以前から絶対に使わなかった。うちのような考えは決して異端ではない。健康を考えいてる人のけっこう多くの人は、既にかなり前から「健康のためにエコナは使わない」と決めていたんじゃないだろうか。エコナを使っていたのは、「健康は気にするが、健康を考えるのは面倒」という人たちだったんじゃないだろうか。

おかみや大企業は「考えなくていい、信じなさい」とこれまでいってきたように思う。そして、多くの人は、「信じればいいのか。考えなくていいのか。こりゃ楽チンだ」と思ってしまった。そこに問題の根本があるように思う。「信じるな、考えよ」を僕は実践していきたい。まあ、面倒くさいし大変なのは確かだ。でも、我が家にはそうしたことを調べるのが苦にならない、ネット中毒じゃないネットリテラシーの高い妻がおりますので、大変助かっております。愛してるよ、ママ。(ほんとほんと)

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