Windows 8は、ひょっとしてすごいかも

Windows 8に移行してから1週間ほどが過ぎた。

実物が世に出てくるまでは、高評価と低評価が混在した感があったWindows 8だが、実際に移行してみて、これは今まで使ったあらゆるOSの中で最高のものかも知れない……なんて思い始めていたりする。

それだけはまりこんだ最大の要因は、もちろんMetroだ。……違った、なんだっけModern UI?というやつだ。例の新しいUIね。

うちは、今までWindows 8で使っていたノートにアップグレードをかけたわけで、当然ながらタブレットではない。マウスで操作しているのだけど、それでも十二分にこれは使える。ずらっと並んだパネルはマウスのホイールでするする左右にスクロールできるし、操作感も上々だ。

このMetro……じゃなかった、Modern UIは(ええい、ややこしい!)、当初、「慣れるのにかなりかかるだろう」といわれていた。確かに、当初はかなり戸惑った。メニューがない! どこに何があるかわからない。どうすれば設定をいじれるんだ? 皆目わからない。……だが、そんなものは、何日か使っていれば解消される程度のものでしかない。人間の適応力を舐めてはいかん。

そして、一度慣れてしまうと、これほどまでに使っていて快適なUIもないのだった。これに慣れると、WindowsやMacはもちろん、iPhoneやAndroidの画面ですら、「前時代の遺物」のように見えてしまう。今更アイコンですかい? ウインドウなんてまだ開いてるの? まだそんなことやってるのかい?という気分になってくるから不思議だ。MetroじゃないModern UIバンザイ!ええいややこしい!

……ところが、この高揚した気分も、デスクトップモードに切り替わった途端、ぷしゅ~と音を立ててしぼむのだった。残っていやがったか、こんなところに。前世紀の遺物が。タイトルバーだけModern UIな感じに見せたってウインドウはウインドウなんだよっ。とっとと失せろ。と思うのだけど、困ったことに、現時点ではデスクトップモードで動くプログラムのほうが圧倒的に多いのだった。

現在、もっとも多用するGoogle ChromeはModern UI対応だけど、Google日本語入力がデスクトップモードでしか動かないためにModern UIで起動できない。「わーい、Modern UIのアプリが作れるぞー」とインストールしたVisual Studio Express for Windows 8もデスクトップモード。そもそもコントロールパネルはもちろん、メモ帳やペイントといった標準アプリですら、すべてデスクトップモードで起動するのだ。Modern UIのほうが、ほとんど「おまけ」扱いじゃないのか?

確かに、今までのプログラムとの互換性ということを考えれば、デスクトップモードを残すことは必要な措置だったのだろう。だが、こいつのおかげで、Modern UIとデスクトップの間を行ったり来たりという悪夢のような操作を強いられるのだった。これなら、すべてデスクトップモードで使ったほうがまだましだ。しかし、夢のような使い心地のModern UIが目の前にあるのに、なんだってそれを使わずに旧態依然としたデスクトップを使わなけりゃいけないのか?

そうなのだ。Windows 8が素晴らしいものになるかどうかは、ひとえに「デスクトップモードをいかにして切り捨てるか」にかかっているのだ。こいつさえいなくなれば、Windows 8はパラダイスなんだから。

そういった意味では、Windows RTこそが勝負の鍵を握っているのだろうと思う。これが浸透し、Modern UIのアプリが続々と登場し、デスクトップモードをほとんど使わなくなった時、初めてほんとうの意味での「Windows 8への移行」が完了した、といえるのだろう。

現時点では、Modern UIは、単なる「ビジュアルがイケてるスタートメニュー」に過ぎない。どうかマイクロソフトは、一刻も早く、デスクトップモードを葬り去ってほしい。無理なのはわかってる。わかってるけどそう懇願せずにはいられない。


……それにしても。ここ1~2年ほどのマイクロソフトは、実に素晴らしい。あの会社に、こんな底力が残っていたとは。iPhone売っぱらってWindows Phone 8に変えちゃおうかしらん。いやほんと。