DeepSeekインパクトが一巡したところで、AIのトレンドは「深層検索(Deep Research)」に移りつつあるらしい。OpenAIが、ChatGPTにDeep Researchを組み込んだのがニュースになっていて、その絡みで深層検索の記事がいくつか流れてきた。
いろいろ見たんだけど、ChatGPTの深層検索って、そんなにすごいんだろうか。OpenAIから出禁を食らった身としては、有料アカウントでしか使えない機能なんて試せないんだけど、でもOpenAIが実装する以前に、けっこうあちこちで深層検索って実装されていたよね? だったら、それらで充分なんじゃない?
とりあえず、主なAIサービスの深層検索がどのぐらいなものか、調べてみようと思ったのだけど。まぁ、自分でもこれまでけっこう深層検索は使っていたので、個人的な所感で語ってもいいんだけど、せっかくだからAIの深層検索で調べてもらおう(笑)。
というわけで、Perplexityのディープリサーチで、以下のようにプロンプトを送ってみた。
- Genspark, Perplexity, Felo, ChatGPT, Geminiの深層検索(ディープリサーチ)機能について、それぞれの特徴をまとめ、その性能を比較した結果をまとめて下さい。
この結果が下のレポート。これはすごい。こいつにかかった時間はせいぜい数分。こりゃもうGoogleで調べ物なんてやる気が失せるな。
主要AI検索ツールの深層検索機能比較:
Genspark、Perplexity、Felo、ChatGPT、Geminiの性能分析
近年、AIを活用した深層検索(ディープサーチ)機能が各社から続々と登場している。本報告では、主要5ツール(Genspark、Perplexity、Felo、ChatGPT、Gemini)のディープサーチ機能を比較分析し、その特徴と性能評価を行う。各ツールの技術的差異と実用性を多角的に検証することで、最適なツール選択の指針を提供する135。
各ツールの基本機能と特徴
Genspark Deep Searchの技術的アーキテクチャ
Gensparkのディープサーチはマルチエージェントアーキテクチャを採用しており、複数のAIモデルを並列実行することで調査の偏りを排除する4。無料プランでも1日1回利用可能で、電話番号認証による本人確認後に利用開始できる。タスク実行時には自動生成された調査プランに基づき、平均30分程度で結果を出力する。特に学術論文や技術ドキュメントの解析に強みを持ち、複数ソースの矛盾点を自動検出する機能が特徴的である45。Perplexity Deep Researchのリアルタイム処理能力
Perplexityのディープサーチは無料ユーザーでもフル機能を利用可能で、通常の検索結果を深堀りする「Pro Search」と、大規模分析を行う「Deep Research」の2段階モードを備える5。検索エンジンとしての特性を活かし、最新ニュースやトレンド情報の収集に優れる。特に、検索クエリを自動拡張して関連するサブトピックを網羅的に調査する点が、他ツールとの差異化要因となっている15。Felo AIのマルチモーダル解析機能
日本発のFelo AIはディープ検索時に84の情報源を参照する業界最高水準のデータ収集能力を誇る1。独自機能として、検索結果を基にしたプレゼンテーション資料とマインドマップの自動生成を実装しており、ビジュアル化が必要な業務プロセスとの親和性が高い。多言語対応の検索エンジンを内蔵し、日本語を含む15言語での自然対話が可能な点が特徴的である25。ChatGPT Deep Researchの強化学習基盤
OpenAIのChatGPT Deep Researchは強化学習を基盤とした動的調査戦略を採用している3。ユーザーの初期クエリから派生する関連質問を自動生成し、調査範囲を指数関数的に拡大する能力に優れる。PDFや画像データの直接解析が可能で、学術研究や市場調査など深い専門性を要する分野での活用が期待される。ただし、処理時間が最大30分と長めで、高精度を求める代償として応答速度が犠牲になっている35。Gemini 1.5 Pro Deep Searchのコスト効率
GoogleのGemini 1.5 ProはMoE(Mixture of Experts)アーキテクチャを採用し、6700億パラメータ規模のモデルを効率的に運用する23。月額20ドルという低コストで利用可能ながら、10Mトークンまでの超長文処理が可能。検索結果をGoogleドキュメント形式で即時エクスポートできる点がビジネスユース向けに最適化されている。ただし、調査深度よりも処理速度を優先する設計思想のため、ニッチな情報の収集には限界が指摘されている35。性能比較指標の詳細分析
情報収集能力の定量評価
情報源の数と質に関して、Felo AIのディープ検索モードは84サイトという圧倒的な情報収集能力を有する1。これに対し、Gensparkは32サイト1、Perplexityは25サイト5、ChatGPTは15サイト3、Geminiは20サイト3と、明らかな差が確認できる。ただし、情報量と出力品質の相関関係は必ずしも直線的ではなく、ChatGPTは少ない情報源から深い洞察を抽出する能力に優れる3。処理速度と出力品質のトレードオフ
Gemini 1.5 Proが平均3分で簡潔な要点を出力するのに対し、ChatGPT Deep Researchは最大30分を要する3。この時間差は、ChatGPTが実施する平均5段階の検証プロセス(情報収集→ソース検証→矛盾点分析→洞察抽出→レポート生成)に起因する3。PerplexityとFeloは中間的な5-15分の処理時間で、速度と品質のバランスが取れている15。マルチモーダル対応の実用性
ChatGPTとGeminiがPDF/画像/動画の直接解析をサポートするのに対し、Feloはプレゼンテーション生成機能、Gensparkは表データの自動整形機能を備える134。Perplexityは純粋なテキスト解析に特化しているが、検索クエリの自然言語処理精度が他ツールを上回る5。特に、技術文書の解析精度ではChatGPTが、マルチメディアコンテンツの処理ではGeminiがそれぞれ優位性を示す3。コストパフォーマンス分析
無料枠の有無では、Genspark(1回/日)とPerplexity(無制限)が突出している45。有料プランではFeloが月15ドルでコスト効率が最も高く、ChatGPT(20ドル)とGemini(20ドル)が続く13。特にGeminiはGoogle Workspaceとの連携により、企業向けの大量処理パッケージが提供される点が特徴的である3。ユースケース別最適ツールの提案
文献調査と仮説検証を必要とする学術研究では、ChatGPTの詳細な分析機能が有効である。複雑な概念の関連性を自動マッピングする機能や、論文の方法論セクションを批判的に検証する能力が、研究者の作業効率を飛躍的に向上させる35。
競合分析や市場調査レポートの作成には、Feloのプレゼンテーション自動生成機能が有用である。収集したデータを即座に視覚化できる点、特にマインドマップ機能による情報構造化が、複雑なビジネス環境の分析を支援する12。
ニュースモニタリングやトレンド分析にはPerplexityの高速検索が最適である。検索結果の更新頻度が5分間隔と高く、ソーシャルメディアを含む多様な情報源をリアルタイムで追跡可能な点が強みである5。
マーケティングデータの一括分析や長文ドキュメントの処理には、Geminiの大容量コンテキスト処理能力が威力を発揮する。10Mトークン(約750万単語)までのテキストを単一プロンプトで処理可能なため、膨大なログデータの分析などに適している35。
無料枠を活用しつつ本格的な分析が必要な場合、Gensparkのディープサーチが最良の選択肢となる。学術用途からビジネス用途まで幅広いタスクに対応しつつ、複数AIモデルの並列実行による公平性担保が特徴的である4。
技術的限界と今後の課題
現行のディープサーチ機能には、主に3つの技術的課題が存在する。第一に、情報源の信頼性評価メカニズムが不透明である点(特にFeloとGenspark)14。第二に、非英語情報の処理精度低下問題(GeminiとChatGPTで顕著)35。第三に、推論プロセスのブラックボックス化による検証可能性の欠如(全ツール共通)13。これらの課題解決に向け、2025年後半にはマルチモーダル検証機能の実装(Perplexity)、分散型信頼性評価システムの導入(Genspark)、ローカル言語特化モデルの開発(Felo)などの技術革新が予定されている245。
結論
各ディープサーチツールは明確な役割分担を持ち、ユースケースに応じた適切な選択が重要である。学術研究にはChatGPT、スピード重視のビジネス活用にはGemini、予算制約下での利用にはGensparkがそれぞれ推奨される。今後の技術発展により、情報収集精度と処理速度のさらなる向上が期待される。利用者は自らの業務要件を明確化した上で、ツールの強みを最大限に活用すべきである。ふむ。ざっと目を通して、特に異論を唱える部分はないよな、と思える。こっちがこれまで使ってきた経験から体感する印象とほぼ同じような回答が出てきた気がするな。
結論ではChatGPT、Gemini、Gensparkといったものが挙げられているが、これらはいずれも有料での利用を考えての選択。やはり「無料か有料か」は大きい。ChatGPTやGeminiの深層検索がどれだけ優れていても、「有料契約しないと使えない」というのではちょっと利用する気が萎える。そんな生成AIばかりに毎月カネかけられないからね。
無料だと、やはりGensparkとPerplexityか。個人的な印象としては、生成されるレポートのクオリティとしてはGensparkが圧倒的なんだけど、無料だと1日に1回しか使えない。まぁ、たまに使ってみるぐらいならこれでもいいのだけどね。
これに対し、Perplexityのディープリサーチは、上記のレポートを見ればわかるように、かなりクオリティが高いのに無料でしかも使い放題だ(※追記:2025年3月時点で無料プランでは1日5回に制限された。ちぇっ)。価格性能比を考えたなら、これがイチオシだろう。また普段の検索も、プロサーチを使えば「ちょっと遅いけど、かなりしっかり調べる」という感じなので、これはもう日常的に使っている。普通の検索いらない、って感じ。
Feloの深層検索(Felo Agentっていう)は、特定キーワードで業界から情報収集し分析するような感じで、ビジネスユースに特化して考えるなら非常に手軽で使えるんだけど、複雑なプロンプトを元に深堀りし分析するようなものには現状向かない。これは「性能が低い」というのでなくて、「そもそも方向が違う」ということ。なので、特定の分野でキーワード検索するようなときはFeloで自作したアシスタントで深層検索している。これは簡単かつスピーディで便利。
で、PerplexityのディープリサーチとFeloエージェントがあれば、ChatGPTやGeminiの深層検索はいらないんでないか、と思う。これが僕的結論。これは別にOpenAIに嫌われてるからじゃないぞ(多分)。この2つがあれば不満を感じることはないし、「これでも足りない。もっともっと深く調べて分析して!」というようなときは1日に1回だけGensparkが使える。もうこれで充分。さよなら、ChatGPTとGeminiの深層検索(そもそも出会ってもないけど)。
(ただし! こいつらは本当に便利だけど、「技術的限界と今後の課題」に挙げられた点については、きっちりと頭に入れて使うべきだろう。情報収集能力が以下に優れていたとしても、それらの情報からなぜこういう結論に至ったか、というプロセスが不透明である以上、完全に信頼しきることはできない。重要な結論については、自分でググるなりして検証する必要がある。ごめん、Google。やっぱり君は必要だ)
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