米大統領選が終わった。結果は出た。多くの人がショックを受けたが、ともかく次期大統領は、トランプ氏に決まったのだ。
これについて何か書こうかと思ったのだけど、実はあんまり思い浮かぶことがない。僕がいろいろと考えてしまったのは、選挙の結果ではなく、結果を受けた人々の姿だ。
トランプ支持派が熱狂するのは、まぁわかる。既に同性愛者や有色人種、イスラムに対するヘイトクライムまがいの事件が起きているようで、これはなんとかしなければと思う。
ただ、トランプの言動とそれを支持する人々という点から見れば、こうした差別的な行動は理解できる。「認める」ってわけではないよ、断じて。ただ、「きっとこういう行動に出る人がいるだろう」ということはわかる、ってことだ。そういう鬱憤を持った人たちなのたのだから。
だが、注目すべきは、敗れたヒラリー支持派だ。涙を流す人、呆然とする人はまだいいとして、かなりな人々が「トランプなど認めない」とデモ行動に出た。中にはほとんど暴徒と化すようなシーンも見られているようだ。
Twitterでは、「トランプ」「暗殺」といったキーワードが猛烈な勢いで増えている。トランプ支持派がそうしたツイートをするわけはないから、これは過激なヒラリー支持派によるものと見るしかない。リベラルであり、自由平等博愛(そりゃフランスだ)を信じる人々が、暗殺を支持?まさかね……。
しかし、ヒラリーを指示する人々は、「Love trumps Hate(愛は憎しみに勝つ)」を支持する人々のはずだ。「選挙結果? それは出てから考える。オレが勝ったんなら受け入れるよ」などといっていたトランプを嘲笑していた人々が、「結果は受け入れられない」と叫ぶ。まるでヒラリー派とトランプ派が入れ替わってしまったかのようだ。
と、ここで、「だから口先だけでリベラルといってるような人間たちなんて信用できないんだよ、ケッ」といっておしまいにすることはできるんだけど、うーん、それも実は、はっきり断定できないんだよね。それは、こういうことが頭に引っかかっているからだ。
「ヒトラーが民主的な経緯を経て国のトップに立つとき、それを違法な行為で阻止することは正しいのか?」
――これは、難しい問題だと思う。明らかに将来、とある人間により大きな危機が到来することがわかっているとき、法を犯してそれを防ぐ(その人間を排除する)のは正しいことなのか。
ヒトラーが国の頂点に立ったとき、それを法を犯して阻もうとした人間がいたとしたら? ヒトラーがその後何をしたか知っているならば「勇気ある人だ、素晴らしい人だ」と褒め称えるだろう。だが忘れてはならないのは、そのとき、ヒトラーがその後に大勢の人々の命を奪うような行動に出るとは、誰も断言できなかったのだ。
トランプがこれからどうなるかは誰にもわからない。今から10年後であれば、当時を振り返って、「あのとき、誰かがトランプがトップにたつことを阻んでいたら」ということはできるだろう。が、それを今、いえる人間はいない。
例えば、SF映画などで、おぞましい未来がやってくることを知った人間がタイプスリップして過去に戻り、未来を変える、なんて設定があるよね。例えば、トランプによって将来、世界がとてつもな災厄に見舞われることを知った人間が、タイムスリップして現在に戻り、トランプを暗殺することは、許されるだろうか?
僕は、「許されない」と思う。
それが許されるのは、実際にその世界に住み、トランプに迫害され苦しめられた人々だけだ。それを経験したわけでもなく、ただ知識としてそうなることを知っている人間が、それを取り除くために法を犯す(誰かを暗殺するとかね)のを認めることはできない。それが認められるのは、認めるに十分な迫害を受けたものだけだ。
だから、まだ何ら被害を受けたわけでもない人々が、将来「きっとこういう害を受けるはずだから」という理由で法を犯すことを僕は受け入れるわけにはいかない。
「それじゃ遅すぎる。実際に多くの人々が苦しみにあう前に、未然に防ぐべきだ」という意見はその通りだ。しかし「どのような未来が待っているのか」は、誰にもわからないのだ。この世は、SF映画ではないのだから。
誰かが実際に被害を受けてからでなければ行動できない。それは確かに生ぬるく、スピード感に欠けるまどろっこしい方法だ。だが、それは「実はそれほど悪くもない人間を勝手に断罪する」という過ちを防ぐためにはやむを得ないことなのだ。
君は、果たしてどちらを受け入れられると思うだろうか。
実際に誰かが被害を受けるまで、害を与える人間が野放しになってしまう、ということ。
あるいは、
誰かが何の罪もないのにとらえられ罰せられてしまうかもしれない、ということ。
僕は、後者は断じて受け入れられない。だから、甘んじて前者を受け入れる。トランプは、まだ何もしていない。まだ大統領として何も行動をしていない。だから、「彼が大統領になる」ことを理由に法を犯すべきではない。
法を犯すなら、自分が十分に迫害され苦しめられてから行なうべきだ。その恐怖と苦しみを受け入れる勇気のない人間に、法を犯す権利は与えられない。
これについて何か書こうかと思ったのだけど、実はあんまり思い浮かぶことがない。僕がいろいろと考えてしまったのは、選挙の結果ではなく、結果を受けた人々の姿だ。
トランプ支持派が熱狂するのは、まぁわかる。既に同性愛者や有色人種、イスラムに対するヘイトクライムまがいの事件が起きているようで、これはなんとかしなければと思う。
ただ、トランプの言動とそれを支持する人々という点から見れば、こうした差別的な行動は理解できる。「認める」ってわけではないよ、断じて。ただ、「きっとこういう行動に出る人がいるだろう」ということはわかる、ってことだ。そういう鬱憤を持った人たちなのたのだから。
だが、注目すべきは、敗れたヒラリー支持派だ。涙を流す人、呆然とする人はまだいいとして、かなりな人々が「トランプなど認めない」とデモ行動に出た。中にはほとんど暴徒と化すようなシーンも見られているようだ。
Twitterでは、「トランプ」「暗殺」といったキーワードが猛烈な勢いで増えている。トランプ支持派がそうしたツイートをするわけはないから、これは過激なヒラリー支持派によるものと見るしかない。リベラルであり、自由平等博愛(そりゃフランスだ)を信じる人々が、暗殺を支持?まさかね……。
しかし、ヒラリーを指示する人々は、「Love trumps Hate(愛は憎しみに勝つ)」を支持する人々のはずだ。「選挙結果? それは出てから考える。オレが勝ったんなら受け入れるよ」などといっていたトランプを嘲笑していた人々が、「結果は受け入れられない」と叫ぶ。まるでヒラリー派とトランプ派が入れ替わってしまったかのようだ。
と、ここで、「だから口先だけでリベラルといってるような人間たちなんて信用できないんだよ、ケッ」といっておしまいにすることはできるんだけど、うーん、それも実は、はっきり断定できないんだよね。それは、こういうことが頭に引っかかっているからだ。
「ヒトラーが民主的な経緯を経て国のトップに立つとき、それを違法な行為で阻止することは正しいのか?」
――これは、難しい問題だと思う。明らかに将来、とある人間により大きな危機が到来することがわかっているとき、法を犯してそれを防ぐ(その人間を排除する)のは正しいことなのか。
ヒトラーが国の頂点に立ったとき、それを法を犯して阻もうとした人間がいたとしたら? ヒトラーがその後何をしたか知っているならば「勇気ある人だ、素晴らしい人だ」と褒め称えるだろう。だが忘れてはならないのは、そのとき、ヒトラーがその後に大勢の人々の命を奪うような行動に出るとは、誰も断言できなかったのだ。
トランプがこれからどうなるかは誰にもわからない。今から10年後であれば、当時を振り返って、「あのとき、誰かがトランプがトップにたつことを阻んでいたら」ということはできるだろう。が、それを今、いえる人間はいない。
例えば、SF映画などで、おぞましい未来がやってくることを知った人間がタイプスリップして過去に戻り、未来を変える、なんて設定があるよね。例えば、トランプによって将来、世界がとてつもな災厄に見舞われることを知った人間が、タイムスリップして現在に戻り、トランプを暗殺することは、許されるだろうか?
僕は、「許されない」と思う。
それが許されるのは、実際にその世界に住み、トランプに迫害され苦しめられた人々だけだ。それを経験したわけでもなく、ただ知識としてそうなることを知っている人間が、それを取り除くために法を犯す(誰かを暗殺するとかね)のを認めることはできない。それが認められるのは、認めるに十分な迫害を受けたものだけだ。
だから、まだ何ら被害を受けたわけでもない人々が、将来「きっとこういう害を受けるはずだから」という理由で法を犯すことを僕は受け入れるわけにはいかない。
「それじゃ遅すぎる。実際に多くの人々が苦しみにあう前に、未然に防ぐべきだ」という意見はその通りだ。しかし「どのような未来が待っているのか」は、誰にもわからないのだ。この世は、SF映画ではないのだから。
誰かが実際に被害を受けてからでなければ行動できない。それは確かに生ぬるく、スピード感に欠けるまどろっこしい方法だ。だが、それは「実はそれほど悪くもない人間を勝手に断罪する」という過ちを防ぐためにはやむを得ないことなのだ。
君は、果たしてどちらを受け入れられると思うだろうか。
実際に誰かが被害を受けるまで、害を与える人間が野放しになってしまう、ということ。
あるいは、
誰かが何の罪もないのにとらえられ罰せられてしまうかもしれない、ということ。
僕は、後者は断じて受け入れられない。だから、甘んじて前者を受け入れる。トランプは、まだ何もしていない。まだ大統領として何も行動をしていない。だから、「彼が大統領になる」ことを理由に法を犯すべきではない。
法を犯すなら、自分が十分に迫害され苦しめられてから行なうべきだ。その恐怖と苦しみを受け入れる勇気のない人間に、法を犯す権利は与えられない。
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