2025年に入り、どうやらようやく「生成AI=ChatGPT」という呪縛から日本もそろそろ開放されつつあるようだ。あるアンケートでは、もっとも使う生成AIのトップがChatGPTではなく「Gemini」だったという(ほんとか?と思ったけど、そういやうちの娘も普段はAndroid端末でGemini使ってるな)。これに限らず、使えるレベルの生成AIがどんどん出てきた。もうChatGPTに縛られる必要などない。
が、やたら生成AIが出てきたところで、「どれを選んだらいいかわからない」という人も増えてきたことと思う。個人的にあれこれ使っていて、「あぁ、現時点ではこれができるかどうかが一つのポイントになるな」と感じているのが「リアルタイム性」だ。現時点の情報が得られるかどうか。これはかなり大きい。
AIは、既に「難しい問題を出して答えさせる」というような使い方ではなく、「日常的な検索の代わりに使う」ようになっている。このため、「私が持ってる情報は2021年までのものです」では役に立たないのだ。
そういう観点から、2025年1月時点での生成AIについて、何が勧められるかチェックしてみよう。といっても、ChatGPTなどは既に知ってると思うので新興の生成AIについてチェックしたい。
Felo(https://felo.ai/)
これが、多分一番のおすすめだろう。これは、珍しく純国産の生成AIサービス。これ自体は、内部的にOpenAIなどのLLMを使ってるようだ(と思ったら、独自開発したLLMだった。Pro版でOpenAIなどのLLMも選択できるみたい)。リアルタイムにWeb情報を検索できるのがFeloの最大の特徴だ。特にSNS検索やX(Twitter)検索、論文検索など特定用途に特化した検索がかなり本気で検索してくれるので、現在の流行や注目されている出来事などについて聞きたいときはFeloが一番いい。
またベータ展開が始まった「検索代理」は、エージェントを使ってかなり掘り下げた検索を行ってくれるマルチステップ検索エージェントで、独自のエージェントを無料で作れる。エージェント作成が無料のところはまだあまりない(ChatGPTやGeminiは有料だ)し、単にプロンプトをカスタマイズするだけでなくディープ検索で取得したデータを分析しレポートを生成するツワモノなので、ChatGPTのGPTみたいな軟弱エージェントとは比較にならないほど高性能。これは期待大。
ただ、このFeloは「AIによる検索」ツールであって、調べたいことを検索してAIにまとめてもらう、という使い方をするもの。いわゆるチャットとは違うので注意(普通のチャットも一応できるけどね)。
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Feloの画面。検索代理はかなり優秀。 |
DeepSeek(https://chat.deepseek.com/)
中国製の生成AIチャットで、最近出てきて「ChatGPTのo1モデルを超えた!」とかいって一部で騒がれている。これ、個人的にはあんまりおすすめでない。なぜなら、ベースとなってる学習データが2021年までで、それ以降の情報がないから。また実際使ってみた感じでは、その他の生成AIと比べても特段に優れている印象はなかった。今や「ChatGPTを超えた!」は当たり前になりつつあるから、それだけで「よし、使おう!」とはなかなかならないよね。だったらリアルタイム情報にも対応しているものを使ったほうがいい。また、生成するのはテキストだけで、最新AIなのにイメージ生成さえできないのはちょっとさみしい。
なんでDeepSeekがこんなに騒がれてるかといえば、AI自体の性能よりも「効率」だ。こいつはOpenAIの最新モデルに匹敵するパフォーマンスを、通常高性能AIトレーニングで使用されるNvidia H100 GPUよりも性能が低い2000枚のNvidia H800で実現している(米国の生成AIは、高性能のH100を16000枚以上~場合によっては数十万個~使ってる)。H800は、H100の性能を一部制限したもので中国向けの輸出規制に対応するために開発されたもの。この「性能低くて最新AIになんて使えないから中国に輸出していいよ」というGPU使ってDeepSeekを開発して、「お前ら、なに巨大データセンターなんか作ってんの?」といわれて米国の生成AI & Nvidiaが「おま、ちょ……」となってんだろうね。
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DeepSeekの画面。DeepThinkで生成過程が見えるのは良い。 |
Mistral(https://chat.mistral.ai/)
これは、ダークホースだった! これはフランスのAIスタートアップ。Mistral AI自体は、以前からそこそこなLLMをオープンソースで出していたので知っていたのだけど、まさかこんな便利なAIチャットをサービスとしてリリースしてたなんて。こいつ、ChatGPTなんかと同じようなAIチャットに見せて、しれっとリアルタイム情報を扱える。「今朝の佐倉市の天気は?」なんて質問にも当たり前に答えてくれる。生成される応答のクオリティもかなり高い。また画像生成も標準で対応してて、日本語で結構なクオリティのイメージをさらっと作ってくれる。地味だけど、ChatGPTやChaudeやGeminiなんかと比べても遜色ない。なんで今まで知らなかったんだこれ?
まぁ、生成される応答はChatGPTの最新LLMなんかと比べると確かにあっさりして内容も若干劣るように思うけど、日常的に使うならこれで十分。むしろ、最近のLLMがやたら饒舌になって喋りまくるようになって読んでて疲れるので、このぐらいが使いやすかったりして。
(天気の検索は参照サイト変更後、不安定になってて、できたりできなかったりしてるみたい。早くなんとかしてくれ)
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Mistralの画面。今朝の天気とニュースもわかる。 |
Genspark(https://www.genspark.ai/)
生成AI関連のサービスとしてはかなり異色。これはディープ検索のためのAIサービス。特定の命題について、20~30分かけて深層検索しレポートを生成してくれる。この生成レベルがすごい。まずChatGPTやClaude、GeminiのLLMを使って詳細なプランを作成し、それに基づいてインターネットで見つけることのできるあらゆるデータから情報を収集して(ざっと数十~数百もコンテンツを検索し収集している)レポートを作成する。ただ検索するだけでなく、得られた情報をもとに現状を分析し、図やグラフなども交えた本格的なレポートを作成してくれる。ChatGPTのGPTとかのような貧弱AIエージェントなんかはまるで歯がたたないレベルで、これに代わるサービスは今のところない。
(唯一、Feloでベータ展開が始まった検索代理はかなり本気で情報検索と分析を行ってくれるので、これが進化したらGensparkに比肩するようになるかも)
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Gensparkのレポート。本気ですごい。 |
Gemini(https://gemini.google.com/)
新興でもなんでもない老舗?の生成AIだけど、日々進化して現在、一番新しい生成AIになってる気がする。オレ個人にとっては、なんだかんだいってGeminiが現在一番使える生成AIなのは確かだ。最近になってGoogle Workspaceにアクセスできるようになって、GmailやGoogleドライブのドキュメントを扱えるようになったので、大量のGoogleドライブのドキュメントから「前に書いたはずの〇〇の説明を探して要約して」なんてできるようになったからもう作業効率爆上がり。また以前からGoogleマップ情報を使った地域検索(「カヌレを置いてるうちから一番近い店はどこ?」みたいな質問)もふつーにできるので無敵。
それとリアルタイム検索も現在、着実に対応しつつある。今朝の天気を聞いたときの答えが下。完璧。
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Geminiの画面。今朝の天気を聞いたところ。完璧。 |
現在、僕個人が普段使っている生成AIは「Felo」「Mistral」「Gemini」の3つになった(ChatGPTは、Soraで実験的にヤバめな動画をあれこれ作らせてたら「Access Terminated」とメールが来てアカウント停止になってしまった)。
以前、AI検索はPerplexityを多用していたのだけど、Feloが確実に進化してきてほぼこちらに移行した。またそんなわけでChatGPTは使わなくなり、GeminiとMistralが補ってる。ClaudeやCommand-R+は使い勝手が今一つで気がつけば使わなくなってた。Gensparkはたまに本気で深層検索するときに使っていてこいつは未だ代わりになるものはなさそうだ。
(2025.01.29 なんか結構読まれてるみたいなのであれこれ追記してみた)
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