怒涛の生成系AIのラッシュにより、すっかり影が薄くなったGoogle。そのGoogleも、ようやくBardというAIチャットを試験リリースした。これがリリース早々、あちこちで応答を突っ込まれ、「こりゃ使い物にならん」とばかりにみんな忘れてしまった感があった。
が、ChatGPT、Bing Chat、BardといったAIチャットを常時開いて利用している個人的な体験からすると、ここにきてGoogleのBardが猛烈に優秀になってきているのを実感する。何より、位置情報を取得し、ローカル情報にも対応できるようになったことがかなり大きい。
- 近くにそば屋ない?
- クイニーアマンを売ってるお店はない?
- 今週末、近所で何かイベントやってる?
- 今年の佐倉の花火大会はいつ?
- 次のユーカリフェスタはいつ?
ChatGPTもBing Chatも、こうしたローカルな情報には全く対応できない。が、Bardは、これらすべてにほぼ正確に回答する。これは猛烈に便利だ。Googleは検索だけでなく、Googleマップを持っている。これが、ここに来てかなり効いている気がする。Googleマップを使っても、クイニーアマンを売ってる店を探すのはかなり大変で、これにすぐさま答えてくれるBardは、Google検索+Googleマップ以上の存在になりつつある(後は、お店のURLやGoogleマップのリンクも付けてくれれば完璧だ)。
また、応答の出力スタイルも個人的にかなり好みだ。ChatGPTやBing Chatは、質問すると、応答のテキストがダラダラ~とリアルタイムに書き出されていく。が、Bardは質問すると、数秒考えた後、応答が一気にまとめて表示される。これがかなり小気味よい。これは人それぞれだろうが、GPTのダラダラとテキストが出力される方式は個人的にイライラするのだ。
また、新しい情報への対応もBardが一番早い気がする。GPTはWeb検索に対応したといってもまだ有料アカウントのみだし、Bing Chatは最初からWeb検索に対応しているが、ここ数日の出来事のようなリアルタイムに更新される情報は今ひとつ更新できてないことが多い。
Bardはその点、かなり対応が素早い。例えば「昨日の時事情報を教えて」と聞けば、世界情勢をピックアップして教えてくれる。「今朝の日本の経済情報を教えて」と聞けば、日経平均、円ドルレート、原油価格、消費者物価指数、生産者物価指数などをずらっと教えてくれる。もちろんローカル情報とリンクしてるから「今日の天気は?」などもちゃんと答えてくれる。Bing Chatは今日の天気を答えられるけど、「〇〇の今日の天気は?」といちいち場所を指定しないといけないし今日の経済情報も曖昧だ。
また、質問についての要約がここ1ヶ月ぐらいで猛烈に優秀になった。短いコンテンツで非常にわかりやすくポイントを突いた要約を出力してくれる。それからコードの出力や計算関係も少しずつ使えるレベルになりつつある。ただ、ちょっと気を抜くと「1200円(約100ドル)」とか平気で回答してくるんだけど、まぁ細かい部分は大目に見てあげよう。
Googleは、いつの頃からか「巨大で動きの重い企業」になってしまっていた。それが、Bardに関しては、かつてのスピーディな動きを取り戻したように見える。ローカル情報への対応の他、まだ英語だけだが必要に応じてイメージを表示するようにもなった。例えば「I want to see the stray cats in Istanbul.」とするとイスタンブールの野良猫の写真が表示され、野良猫やイスタンブールの説明がつけられる。応答にイメージがつけられるのはかなりパワフルだ。これは早く日本語にも降りてきて欲しい機能だ。
あと、BardがBing Chatより劣るところといえば、応答の参照URLがついてない(Bing Chatは必ず応答で参照したサイトのURLのリンクがいくつか表示されクリックして確認できる)ということぐらいだろうか。Bardもソースがある場合、URLが追加されることはあるが、ついてないことが多い。AIの回答の最大の問題は「正しい情報なのか、捏造されたものかわからない」ということで、参考にしたURLが常につけられるようになれば応答の信頼性を自分で確認できるようになる。
ほんの少し前まで、「この勝負はマイクロソフト+OpenAIの圧勝、Googleの一人負け」と思っていたのだけど、この1ヶ月ほどの間に印象がガラリと変わったのには驚いた。今や、AIチャットのイチオシは、Bardだ。みんな、Bardを使おうぜ!
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