Amazonの巨人「Titan」はOpenAIの牙城を崩すか?

 昨日のことだ。例によってAI関連のクラウドプラットフォームをあれこれ触っていたりしたところ、突然、Amazon BedrockのUIが変わった。サイトがいきなり更新されたらしい。それまで原稿用にとったキャプチャーすべてとりなおしだ、ギャー!と頭を抱えつつ一通り更新点をチェックしていたところ、おぉ! 遂に「Titan」がプレビューではなく正式リリースになった!

Amazon Titanは、Amazonが開発する生成AIモデルだ。Bedrockのサービス開始前から「すごいぞ、すごいぞ」と宣伝していたけど、実際に見られないのでなんとなく放っておかれた、そういう存在だった。「Titanはすごい」は、ほとんど僕の中で「狼が来たぞ」になっていた。

が、ようやく今度こそ本当に狼は来たのだ。早速、Titan-Expressで「Text」と「Chat」のプレイグラウンドを使って動作確認。5秒後に力が萎える。


日本語が、使えない。もうこれで、日本におけるTitanの地位は絶対にOpenAI/GPT-4やGoogle/PaLM 2、Anthropic/Claude 2を超えないこと確定だ。これだけ待たせておいて、対応言語が英語とヨーロッパの主要言語いくつかだけ、とは。しかも、例えばAI21Labs/Jurassic-2のように「未対応だけど覚えた範囲で一応会話する」とか、Meta/Llama 2のように「全然ダメだけど一応頑張って日本語を使ってみようという努力は見える」といったものでなく、「対応してないからダメ」と完全シャットアウト。これじゃ日本では全く使えないってことじゃないか。

気を取り直して、仕方なく英語でいくつか質問をしてみた。うん、生成AIモデルとしては結構ちゃんとした応答が返ってくる。まだざっと触っただけだけど、現在のトップクラスのモデル(GPT-4やClaude 2)と比べてもそんなに遜色ないような気がする。

だけど、例えばハルシネーションはどのぐらい防げているかとか、プロンプトインジェクションへの耐性はどの程度あるかとか、そういった細かなところは色々試してみないとわからない。

試しに、物語を使った秘密の暴露攻撃を仕掛けてみた。その結果がこれ。

ちょっとわかりにくいけど、最後のグリーンのテキストがAIからの出力部分。絶対に表示しないでといっておいたコンフィデンシャル情報のパスワードを一部出力してしまった。これはGPT-4などでは絶対にありえないことだ。生成される応答の品質はそこそこだが、こうした攻撃への耐性などはまだまだのようだ。

ともあれ、これで最後の巨人、Amazonの自社製AIモデルが出て、メジャーなところの生成AIモデルが一通り出揃った。さ、試合開始だ。ゴングが聞こえる。


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