駆け抜ける喜び、か……

というわけで、本日、車がきました。といっても、まだ代車。ディーラーから、購入するのと同じBMW 116iを代車として貸し出してもらったのでした。本日、修理工場から借りていた代車を返却し、遂に我が家にBMW(代車だけど)がやってきたのでした。

当初、我が家ではBMW 116iと、miniクラブマンで意見がすっぱりと分かれていたのであります。というと、「なんで? なんでその2台なの?」と思われるかもね。価格的に、ほぼ同じ金額で同じような大きさ、そして同じように「個性のある、主張のある車」ということで比べてたんだけど……、普通、miniが好きな人はBMWなんて目が向かないし、BMWを買う人はminiなんてハナからバカにしている、という感じで、両方を平等に比べる人間はめったにいないらしい。(そういえばディーラーのショールームでも、BMWを買いに来た人はminiのほうなど全く目に入らないし、miniを見に来た人はBMWのところには目もくれず素通りしていたな)

で、妻はクラブマンを押し、僕は116iを押していたのだけど、最終的に「運転するのはパパだから」ということで、116iに決まったのでした。で、本日、さっそく近所をドライブしてみたのだけど……。うん、やっぱりこいつにしてよかったな、とつくづくと思うのでした。

何が他の車と違うのか。それは「基本性能」だと思う。BMWというと、実は僕の中でもっとバブリーなイメージがあって、「金持ちのぼんぼんが女を引っ掛けるのに乗り回すような車」という感じだったのだけど、実際に乗ってみると、こいつはその正反対、実は「質実剛健」な車だったのだ、ということがよくわかってきた。

進む、止まる、回る、そういった基本的な動作が、驚くほどにしっかりしている。こんな当たり前の部分に
こんなにも感動するとは思わなかった。昨今の車というと、「なんたらかんたら機能搭載」だの「なんたらかんたらのエコなんたらかんたらです」だの、説明が長い割には何がいいのかさっぱりわからない機能が盛りだくさん、という感じだったのだけど、この1シリーズ、値段を考えると異常なくらいにすっきりさっぱりしている。オプションなしの標準装備だと、おっそろしく何も無い。そのくせ300万近くもする。一体、何に金使ってんだ、ほとんどBMWのマークの値段じゃねえのか、と思ってたんだが、走ってみて得心した。その価格の大半は、「車の基本部分」につぎ込まれていたんだ。

人は、何かを人に売りつけようとすると、とにかく他の商品との「わかりやすい差別化」をはかろうとする。それは、カタログの「文章」や営業の「言葉」といったわかりやすいもので相手に伝えることのできるものでないといけない。かくて抽象的な、シンプルに説明のしにくい部分はけずられ、一目見てわかる「モノ」だの「機能」だのの開発に血道をあげるようになる。そして、「走る」ための車は、20の「走るための部分」の上に80の「走る事から見ればどーでもいい、おまけ部分」を載せて市場に送り出される。

BMWは、おそらく逆だ。80の「走るための部分」に、20の「おまけ部分」をつけて作られる(いや、正確には10の「おまけ部分」と、残り10の「BMWのエンブレム」に、か?)。BMWが掲げる「駆け抜ける喜び」というのが、ようやくわかった気がする。これは、言葉やカタログとして記せるものじゃない。言葉として表現するのが難しい、抽象的な部分に力を注いでいる。

こういう車が欲しかった。それがわかっただけでも、BMWを選んだ甲斐はあったのかも知れないな。かくて、わずか数日だが、この代車くんとの生活が始まる。

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