デジタルガジェット購入のその後(iphone/ipad/xperia)

5月から6月にかけて、我が家としてはかなり思い切ったデジタルガジェット類の導入が行われました。妻のケータイがiphoneに、そしてパパ(←オレ、オレ)のケータイがxperiaに、更にリビング・パソコンにipad。それまでそうした世界とは無縁だったのが、一気に最先端(……でも、iphoneは3GSだけど)になったわけでありますね。で、ケータイ関係が一ヶ月以上、ipadも10日ちょっと経過したところで、全体の印象などをちょっとまとめてみたいと思う。

・iphone 3GS
既に世の中はiphone 4一色になってるわけだけど、iOS 4にもしたし、どこを握ってもちゃんと電話はかけられるし(笑)、まぁあまり「iphone 4を待てばよかった」感はない。妻はすっかりiphoneが気に入ったようで、事あるごとに「xperiaなんかよりiphoneが……」とのたまってる。もともとiMacユーザーだし、ますますアップルに傾倒している感じだ。

ただ、意外なことに、僕はiphoneに魅力をあまり感じていないようだ。もちろん、そのデザインや操作性などは非常にすぐれたものだとは思う。ただ、僕はもともと「デザインの良さ」にあんまり魅力を感じないらしい。「見た目はダサくても別にかまわない。内容がよければ」という感じなのだね。

iphoneをいろいろと使ってみて、それまで持っていた印象とかなりずれがあることに気がついた。確かにデザインは一流だ。だが、「GUIは、果たして優れているか?」という疑念が沸き起こってきたのだ。Macのマウスに相通ずるワンボタンだけのデザイン、タップやマルチタップの操作、それらは確かにすばらしい。だが、アプリケーションのGUI設計は、正直言ってかなり後退しているように思える。みんな感じないのだろうか。iphoneのアプリの操作は、非常に統一性が低下している。操作方法がアプリによってまちまちで、アプリごとに使い方を覚えなければならない。

また、意外なことに「使えるプログラムが少ない」ことに気がついた。App Storeで配布されているプログラムは、すべて「アプリ」だ。考えてみれば当たり前のことだが、アプリ以外のプログラムは作れないし配布もされない。またアプリであっても、例えばWebブラウザはほとんどない(Operaはどうなった?)。つまりは、「アプリのビューワ」であって、「iphoneのシステム自体をあれこれと使いやすくする」ようなプログラムはない。日本語の入力プログラムも変更できないし、ホームも変えられない。

もちろん、iphoneでも素晴らしいところはある。iTunesストアやiBoookストア、更にはゲームストアなどのサービスだ。これらはiphoneでなければ体験できない。iphoneをこうした「サービス利用のための専用端末」として考えると、アップルの戦略のすごさがわかってくる。このあたりは、iphone以外は当面、まったく太刀打ち出来ないだろう。

だが、それ以外は? 「美しい、洗練されている」以外の褒め言葉がiphoneからは聞こえてこない。iphone 4にしても、高解像度の液晶以外は、これといって魅力を感じなかった。iphoneは「今がピーク」と感じてしまうのは僕だけだろうか。

・xperia
面白い。それ以前から、まぁエミュレータレベルで一通り触ったりアプリを作ったりしていたので基本的な使い勝手はわかっていたつもりだけど、いざ実機のAndroidマシンを持つと、やっぱりこれは面白い!

意外なことに、プログラムが豊富だ。というと、「iphoneのほうがはるかに充実してる!」と怒鳴られそうだな。そうなんだけど、それらの内、「起動して何かを実行する、ただのアプリ」の大半には、僕は興味がない。マルチメディア? いらない。ゲーム? いらない。twitterにmixi? いらない。僕が欲しいのは、「システムを強化し、自分なりにカスタマイズするためのもの」であり、「自分で作ったプログラムをあれこれいじったり実験したりするためのツール」だ。これは、iphoneにはまったくない。Androidには、山ほどある。楽しい。

また、Webのブラウジングは、iphoneよりxperiaのほうがはるかに使いやすいことに気がついた。xperiaを横にしてブラウズすると、これはかなり見やすい。マルチタッチで拡大縮小できないじゃん!とiphoneファンからはいわれるけど、普通に拡大縮小のボタンで行えばいいだけ。逆に、マルチタッチが不要なので、片手でブラウズできて便利だ。意外にiphoneは、(マルチタッチの弊害か?)両手を使わないと操作できないことが多い。またホームに貼り付けるウィジェットがかなり快適だ。これらは、なんといってもxperiaの「広い画面」なればこそのものだろう。

なにより、システムやプログラムを自分が管理できる。実行中のタスクをチェックし、不要なものを切ったり、特定のアプリの設定を初期化したり。またAndroidマーケット以外のところで好き勝手に配布されている、いわゆる「野良アプリ」の存在など、ユーザーに任されている範囲が広い。iphoneはそのほとんどがアップルによって管理されている。「ほら、この中は自由だよ。ここの中でだけ好きなように遊びなさい」と砂場を与えられた子どものような感じだ。Androidは、野山を駆け回ってる感じがする。もちろん、だから自分がしっかりしてないと痛い目を見るし、それだけの才覚がないと何をやるのも大変だ。大変だが自由な世界。すばらしい。

また、これまた意外なことに、実際に使ってみると、iphoneよりAndroidのほうが「ユーザーインターフェイスが優れている」ことに気がついた。いや、もちろんiphoneのほうがきれいですよ、洗練されてますよ。だが、AndroidのGUIは、iphoneより高度だ。

例えば、ホームに貼りつけて使えるウィジェット。iphoneではまだ実現出来ていない。そして、情報バーから引き出されるノーティフィケーションや、画面の下から引き出されるスライディングドロワー。メニューボタンでいつでも呼び出されるオプションメニュー。非常に豊富なGUIが用意されており、すべてのアプリはそれらを使って統一された操作性を実現している。そして、これらはiphoneと異なり、すべて片手で操作することができる。この「AndroidのGUI」は、もっと評価されるべきだと思う。

もちろん、xperiaにも欠点はある。それも、山ほど。何より遅い! マルチタスクのくせにメモリが少ない! 画面タッチの認識、悪すぎ! バッテリのもち……は、OSのバージョンアップにより、iphoneと比べても遜色ないレベルになってきたから、まぁいいか……。

・ipad
現在、一番持て余しているのが、これだ。結局、iMacの代わりにと思ったこいつは、まったくこれっぽっちも代わりにはならず、iMacは依然としてリビングに鎮座ましましている。で、現在こいつは、朝起きて天気をチェックする「お天気チェック専用マシン」と化しているのだった。

もちろん、他にも使いはするよ。i文庫HDで本を読んだり(……でもあまりに重くて、結局寝る前の読書はxperiaになってしまう)、妻がクックパッドでレシピを検索したり(……でもキッチンだと結局邪魔でダイニングにおいやられてしまう)、子どもがお絵かきやゲームで遊んだり(……でも結局紙にお絵かきしたりDSで遊んだほうが楽しいわけで)。

まぁ、妻がソファでちょっとネットサーフしたりするのには使える(このサイズになると、マルチタッチを併用したWebのブラウズはかなり快適だ)ので、「金ドブ」とまではいっていないのだけど、正直、3機種の中ではもっとも「しまった」感の強いものになっている。なんとか使い道、考えないとなぁ……。


――総合的に見て、僕個人としては、xperia(というより、Android)を一番使っている、一番使えるのは間違いない。ただ、僕の欲しいものは、世間一般のケータイ利用者が望むものとはかなりずれたところがある。だから世間的に見れば、やはりiphoneが一番だろうと思う。

ただ、現在のiphoneに対する世間の評価は、やや高すぎる気がする。逆に、Androidに対する世間の評価は、低すぎる気がする。デザインや操作性は確かに素晴らしいが、今、Androidを使ってからiphoneに戻ると、インターフェイスの貧弱さ、使い勝手の悪さを感じてしまう。「そんなわけがあるか。iphoneのインターフェイスは素晴らしい。Androidなんかより遥かに洗練されている」というのはもっともだが、しかし「洗練されている、美しい、使いやすい」ということと「使い勝手が良い」というのは、実は違う。これは「慣れ」の問題ではない。もっと根本的な設計思想の問題だ。

これは、例えばMacとWindowsの違いにも似た面があるのではないだろうか。Macはすぐれたデザインと操作性を備えていた。だが、Windowsの2ボタンマウスとキーによる操作に慣れてからMacに戻ると、ワンボタンのMacがどうにももどかしく感じるのは確かだ。今ではMacでもマウスのホイールが付いているが、その昔、ホイールのない、本当にただ1つのボタンしかないマウスが標準だったMacと、既にホイールまで備えていた3ボタンマウス対応のWindowsと、どちらが使い勝手が良いかはいうまでもないだろう。確かにMacのほうが洗練されているし使いやすい。だが、Windowsのほうが圧倒的に手早く操作できたのは確かだ。更に遡れば、貧弱なハードでとろとろと動いていた初代のMacなんぞより、MS-DOSのコマンド入力のほうが圧倒的に使えたのもまた確かだろう。

世間的には、iphoneの評価はうなぎのぼりで、Androidは最近、めっきり静かになってしまった。だが、両者の差は、実は意外に開いていないと思う。ipad、iphone4と矢継ぎ早に新製品が発表になりお祭りの最高潮であるこの時期を過ぎ、次第に落ち着いてきたとき、両者の評価はどう変わるだろうか(それとも変わらない?)。今からちょっと楽しみだ。

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