木への憧憬

昨日の夜だったのだけど、近所に住んでる娘の友達のお母さんが急にやってきた。なんでも秋休みの宿題プリントあったら見せてほしいとかいったことだったんだけど、まあそれは関係ないんで脇に置いといて。

近所に住んでいながらなかなかうちにくるきっかけもなかったんで、これ幸いと家の中に引き入れてしまった。どーもねー、うちは家を建てている最中から、近所の好奇の眼差しにさらされていたようで、「この家、中はどうなってるの?」的に興味津々な人はかなり多いようだ。引っ越して挨拶に行った町内会長さんのところでは、「建築中に、みんなでツアーで見に行ったよ」といわれてしまった。(施主に無断で建築現場に入りこむなー!)

で、そのお母さん。玄関を入った途端、「うわー、やっぱり木の香りがすごいわねー」と。これがわからない。既に建って2年。さすがにもう木の香りなどしないだろう、うちの人間はまったく感じないぞ、と思うのだけど、来る人来る人みんないうのだ。「木の香りがすごい」と。住んでいると、鼻が慣れてしまって感じなくなるんだろうか。

そのご近所さんの家も、国産檜をふんだんに使っているそうで、お客が来れば「木の香りがするねー」といわれるらしいのだが、それでも我が家に一歩入ると木の香りが強烈に感じるらしい。木の種類が違うから香りが違うせいだろうか。

そして、あちこち見ては、「はー。床もねー、壁もねー、天井もねー、家具もみんな木ですねー。木はいいですよねー。うちも大好きなんですよー」と、とにかく「木」をほめることほめること。娘も調子に乗って、「ピアノも木なんだよー」とわけのわからんことを自慢する。いや、ピアノはどこの家もみんな木だってば。

つくづくと、「木の家が好き」な人は多いなと思う。それなのに、なぜだか「木の家」を建てる人は多くない。せいぜい床を無垢にして一部の天井を木にして「やー、木がいっぱいだ」と喜ぶ。壁紙はビニール、その裏側は合板や新建材、空っぽの壁の中は非自然素材の断熱材で埋められた家を建てる。ログハウスなら、その家よりはるかに安い値段で、すべて木の家ができるのに。

時々、エコを自称する人が「木を切り倒して家を建てるなんてエコに反してます!」なんてわけわからんことをいったりする。いや、木を使うのがエコなんだってば。ときどき、プランターに木を植えたり、庭に芝をしいて「我が家も二酸化炭素削減に貢献してます」とかわけのわからんことをいっている人がいるけど、植物をどれだけ植えようが、そんなものは二酸化炭素削減には全く、全然、なーんにも効果はありません。どれだけ二酸化炭素を吸収しようが、最後に枯れて土に帰る時点で吸収された二酸化炭素はすべて戻されてしまう。

木を植えて、二酸化炭素をたくさん吸収して育った木を切り倒し、それを木の状態のままになるべく長く使い続ける。そうして初めて木は二酸化炭素削減の役に立つ。ただ木を育てるだけじゃ駄目だ。もっと木を、木の状態のまま使わなけりゃ駄目だ。

民主党になって、CO2削減を大きく打ち出すことになった。その一助として、「木を大量に使った家には税金を安くする」なんてのはどうでしょうね? 家を建てる人も木の家を選択しやすくなるし、木の需要が高まれば日本の森林資源もうまく循環してより二酸化炭素を効率的に削減できるようになる。いいことばかりと思うがなー。

ちなみに、ログハウスは、一般的な在来工法の約5倍の木を使うといわれております。そうなったら、ログハウス・オーナーも激増するぞー!

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