引っ張り出した冬物

朝、目が覚めて新聞を取りに外に出ると、おぉ!今日はさすがに涼しい。というより、肌寒い。11月も目の前、さすがに秋も深まってきた感じがする。久しぶりに靴下を履く。夏の間は、はだしのほうが快適なので靴下を全く履かず、常に素足だったが、ぼちぼち靴下の季節がやってきたのだな。

ログハウスに暮らすようになって、どうも困るのが、「その日の気温の按配がよくわからない」ということだ。朝、目が覚めても、外に出るまで、その日が暑いのか寒いのかわからない。いや、本当に。そりゃ、夏と冬じゃ違いますよ、もちろん。ただ、「今日はちょっと涼しいな」「今日は昨日よりちょっと暑いな」といった感覚が家にいるとほとんどわからない。室内の温度が、ものすごーく安定しているためだ。

そして、気温以上に、一年を通じて異常なくらいに安定しているのが「湿度」だ。ログハウスでは、どんな季節であれ湿度はほぼ40%ほどを維持している。冬場などは、さすがに乾燥すると体に悪いと思って加湿器を使っているが、一日中どんなにがんばってまわしても50%を超えることはできない。逆に、梅雨どき、外に出ただけで体中がびっしょりぬれるような湿度100%の日々が1ヶ月続いても、室内はからりとしていて、夜、寝る前に洗濯物を干しておけば朝には乾いてしまう。

木は湿気を呼吸する。湿度が高いときには湿気を吸収し、乾燥してくると排出する。そこいらの「木をたっぷり使っています」という家のゆうに5倍は木を使っているログハウスでは、湿気の吸収と排出の能力は並みの家の比ではない。

そういえば、今朝方、妻が「感動した!」といった顔でやってきた。手にはマフラーを持っている。「これ見て」という。

「これね、去年、オーバーと一緒にかけておいたまま、すっかり忘れててそのままほったらかしになってたの。散々使って、洗濯も何もしないで。それなのに、ほら」

鼻先にマフラーを突き出す。なるほど、まったく臭くない。つい昨日まで洗濯して使っていた感じだ。

「ログハウスに住んでから、衣類がかび臭くなったりしたことが一度も無いわね」

そういえばそうだ。以前は、梅雨時などはそのまま室内に干していると生乾き独特の臭いがして、毎日、浴室乾燥機をがんがんに回して乾かしていたものだ。今の家にも浴室乾燥機はついているのだけど、そういえばすっかり使わなくなってそんな機能があったことすら忘れていた。なにしろ、部屋の中につるしておけばすぐに乾くんだから。

カビとも無縁になった。以前は、押入れの湿気対策とか気にしていたものだし、脱臭剤は必須だった。ログハウスに来て、そういえば脱臭剤というのを買ったことがない。まあ、これは押入れのように狭く締め切った場所に保管せず、納戸部屋にすべて保管するようになったせいもあるのだろうが、「かび臭さ」とは完全に縁が切れた。幼稚園や小学校のママ友などが「梅雨時になると押入れの壁が汗をかく」とか、「寒くなると窓が結露して大変」とかいうのを、「それ、どこの国の話?」とか思ってしまうようになった。

(……そういえば、結露で思い出したが、1度だけ結露したことがあった。ただし、家の中ではなく、「外」だ。梅雨時、そとがムンムンの蒸し暑さだった朝方、家の中があまりにひんやりとしていたため、窓の「外側」が結露したのだった)

夏物や冬物は、しまう前にしっかり洗濯。押入れにしまいこんだコートなどは、しっかり防湿防黴。カビやすいものは時々出して虫干し。そうした日本独特の習慣が、この家に来て以来、すっかりなくなってしまった。冬物も夏物も、なんとなーく使わなくなったらなんとなーくそのまま放置。それで、次のシーズンが来ても、臭くもならずカビてもおらず、そのまま昨日まで使っていたかのように使えてしまう。うーむ、ログハウス恐るべし。

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