Bing Chatに詩を書かせてみた

 ブログや小説以外にもいろいろ作れるんじゃないか? と思っていろいろやらせてみた。まずは俳句。「春の植物をテーマに俳句を考えて」といったら、こんなのを出してきた。


桜咲く
春の風に乗り
香り立つ

タンポポの
綿毛飛ばして
願い事

水仙や
白いラッパで
春告げる


うん。まぁ表現がやや子供っぽいというか、いかにも素人な感じだけど、ちゃんと俳句になってる。このぐらいの作品は、新聞の俳壇コーナー見ればありそうな気もするな。

じゃあ、短歌はどうだろう。文字数が多いほうがまとめやすくなる気がする。というわけで、同じく「春の植物」を季語に短歌を書かせた。


春の風に
揺れる菜の花や
君と歩く
別れの道も
黄色く染まりぬ

桜散る
春の夕暮れ
手をつないで
見上げた空には
新月が浮かぶ

山吹咲く
晩春の日差し
心なごむ
あの人と過ごした
日々を思い出す


うーん、がくんとレベルが落ちたな。ただの感想文を五七五七七にしただけな感じだぞ。これはなぜだろうか。おそらく短歌より俳句のほうが学習データが豊富だってことか。

じゃあ、詩はどうだ。「春と死」というテーマでソネットを書かせてみた。本人曰く「シェイクスピア風ソネットです」だそうだ(笑)。ほんとか?


春の日差しに目を細めて
花々の香りに酔いしれる
生命の息吹を感じて
この時を永遠にしたいと願う

だが春は長く続かない
やがて夏が来て花は散る
秋風に色褪せた葉が舞い
冬の寒さに震える

死もまた春のようにやってくる
予期せぬ時に訪れる
私たちを別れさせる
二度と会えないと告げる

だから今この瞬間を大切にしよう
春も死も愛する人と共にあればよい


おお。前半は、ちょっといい感じだ。最後の二行連が説教臭いというかまとめようという意図がミエミエな内容になっちゃってるけど、意外とまともな詩を書いてくるのには驚いた。1,2の四行連は連続する流れで3の四行連はちゃんとターンになってる。ただ押韻がダメだ。踏んでないところが2ヶ所ある。これは日本語だからか? 英語で書かせればきれいに韻を踏めるんだろうか。ということで英語に直させてみると。


I squint my eyes in the spring sunlight
And get drunk on the fragrance of flowers
I feel the breath of life in every sight
And wish this moment would last for hours

But spring does not last for very long
Soon summer comes and flowers fade away
Autumn winds blow and leaves fall with a song
Winter's cold makes me shiver and sway

Death also comes like spring without warning
It visits me at an unexpected time
It separates me from you without mourning
And tells me we'll never meet again in this clime

So let's cherish this moment while we can
Spring or death, it's better with you than alone


おお! 英語だと完璧に韻を踏んでるぞ。これなら確かにシェークスピア風ソネットといえる。なるほど、そういうことか。内部で英語でソネットを生成して、それを日本語に翻訳してたんだな。それなら多少韻が抜けても「翻訳でここまで韻を揃えた」と評価できる。ふむ、やるなこいつ。

まぁ考えてみればAIは欧米生まれだからソネットは得意なのかも知れないな。じゃあ漢詩はどうだろうか? というわけで「春と別れ」をテーマに五言絶句を書かせてみた。


春風吹き渡る
花散る別れ路
思い出胸に秘め
一歩ずつ歩む

春風吹渡
花落別離路
回憶胸中藏
一步一步走


春の日は短し
別れの時近く
涙に濡れた花
風に揺れて散る

春日短暫
別離時刻近
淚濕花瓣
風中搖曳落


ソネットの例もあったので、日本語の書き下し文だけでなく中国語(繁字体)の原文も書かせてみた。うーむ。5文字に足りない句がそれぞれあるし、韻も踏んでないし、とても五言絶句とは呼べないレベルだな。漢文の試験でこんなの出してきたら赤点間違いなしだ。Bing Chatは漢詩は苦手らしい。


というわけで、Bing Chatは、「俳句と英語の詩は割といける」ということがわかった。だが短歌は素人以下で、漢詩は壊滅的だ。これはやっぱり学習データの量の違いなんだろう。

逆にいえば、豊富な学習データがあれば、人間があれこれと推敲し作品を生み出すための苦悩などまったく無縁なAIが機械的に生み出す作品もそこそこいいものができる、ってことだ。

既にイラストなどの分野ではAIが作った作品がコンテストで賞を取ったりしてる。「創作」は「機械にはできない、人間の最後の砦」のように思っていたけど、そうではないかもしれない。創作のための苦悩なんて、実は「作品を生むためには別に必要ないもの」だったのかも。実は作家の自己満足のためのものでしかなかった、ということなのかも。

何をもって人間を人間たらしめているのか。そういうことをちょっとばかり考えさせられるのでした。


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